存在感が増すクレイグ・グリーン、楽園へ旅する遊牧民を描く【2018春夏メンズ】

2017.06.15

6月12日ロンドンファッションウィーク・メンズ最終日の朝、クレイグ・グリーンCraig Green)が2018春夏メンズコレクションを発表した。ロンドンの目玉であるJ.W.アンダーソン(J.W.ANDERSON)がフィレンツェでのショー開催のため不在の今季、クレイグ・グリーンはその存在を見せつけた。時に神学的で思慮深いコレクションは、シーズンを追う毎に魅力を増している。

会場は、レンガで建てられたヴィクトリア調の鉄道ガード下。6月3日に起きたテロ事件の現場となったロンドンブリッジからほど近い場所だ。今季は“楽園へする放牧民”をテーマに掲げた。「楽園への逃避を考え、楽園がどんな場所であるかを想像したが、一層暗闇へと深まるばかりだった」とコレクションを構築する過程を語ったクレイグ。

ルック序盤は白と黒の落ち着いたトーンが軸となる。ストレッチの効いたすっきりとしたシルエットや無造作なステッチのライン、これまで見られなかったデニム素材を引用し、クレイグの違った一面を見せる。ディテールにはシグネチャーである紐が多用されていた。中盤に差し掛かり、カラフルなコントラストへと変化するとともに、無作為に異素材を組み合わせたオーバーサイズのピースが登場する。あらゆる制限から解放され、遊牧民は自由を手に入れたようだ。

旅は続き、終盤はさらに自由度が増していく。太陽や大地、ボタニカル柄などがプリントされたマントやポンチョが登場。クレイグが描いた遊牧民は、楽園へと辿り着いたようだった。豪華なセットや派手な演出ではなく、コレクションピースのみで心を揺さぶるエモーショナルな内容に仕上がっていた。現実世界が暗く複雑であるだけに、クレイグの才能は一層光り輝いて見える。
ELIE INOUE
  • クレイグ・グリーン2018春夏メンズコレクション
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