ベルリンの歴史ある建造物の行く末--19世紀に開業した旧薬局の場合【A trip to Berlin】

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元◯◯という肩書を持つ場所が、ベルリンには非常に多い。古いものを一掃し、ビルを建てまくっている東京とは対照的に、築年数で言えば100年を超える建造物を利用した文化施設、ホテル、ミュージックスポットなどがクールで文化的ともてはやされている。「ベルリンの歴史ある建造物の行く末」では、数奇な運命を歩んできた都市の歴史と最先端のカルチャーが一元化される、唯一無二の空間を紹介する。

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カフェ&バー「ORA」の外装


訪れたのは、飲食店やカルチャースポットが集い、週末は明け方まで賑わうクロイツベルク地区にあるオラニエン広場。この広場に面する一角に、「ORANIEN- APOTHEKE(ドイツ語でオラニエン薬局の意)」とサインを掲げた、古めかしい建物がある。その名の通り、ここは1860年に開局した旧薬局。おおよそ150年にわたり営業を続けていたが、数年前にその歴史に幕を下ろし、2015年春に当時の面影をほぼそのままに残したカフェ&バー「オーアールエー(ORA)」として、再びその扉を開いた。

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当時の薬局のものをそのまま活かしたディスプレイが魅力


一見すると、ベルリンによくある古いコンクリート造りのビル。しかし、中に足を踏み入れた瞬間に広がる、その長い歴史を感じるゴージャスかつ重厚感のある内装は、感嘆の声を上げるほどに美しい。背の高い薬品棚はもちろん、陳列された試薬瓶やフラスコも、当時のものをそのままディスプレイしている。オーナーのChristophさんは、2年の歳月をかけて、古い薬局を自らの手で飲食店に改装した。

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薬局で使用していたフラスコをディスプレイ


「ORA」はオープンからまもなく人気店となり、この特別な空間でひとときを過ごそうという人達で、終日賑わいを見せている。昼はエスプレッソ、夜はカクテル1杯から利用できるカジュアルさも魅力。店内奥のキッチンで調理されるフードもイケる。午前中には焼きたてのシナモンロールやケーキ、ランチやディナーは、地元の野菜を豊富に使った食事が楽しめ、付け合わせのパンも自家製にこだわった。

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午前中に焼きあがる自家製のシナモンロール


かつて、病を癒すためにあった場所で、人々がグラスを傾け、気ままな時間を過ごす。歴史が現代に息づく、まるで映画のワンシーンを眺めているかのような、不思議な場所だ。

《Jun Igarashi》

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