鹿児島睦が表現する“図案”と“造形”。 地元・福岡ではじめての大規模な展覧会「#鹿児島睦展」【Report--1/2】

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陶器やオブジェに描く、動物や植物をモチーフにした独特の絵柄。見る人に、愛らしさやユーモアを交えながら、デザインとものの楽しさを伝えるアーティスト・鹿児島睦。近年ではさまざまなブランドとのコラボレーションや壁画なども手がけ、ロンドンやロサンジェルス、台湾など海外からも高い評価を得る鹿児島の展示会が、ホームグラウンドである福岡ではじまった。

鹿児島のオリジナリティあふれる作品の魅力、それは構成力のある「図案」と独自の技法で生み出す「造形」にある。今回はそれらをテーマにした展示会を、三菱地所アルティアムと太宰府天満宮、2カ所の会場で同時開催する大規模な試みとなっている。

■発想の原点をたどる
「鹿児島睦の図案展」

ファッションビル・イムズの中にあるアートギャラリー「三菱地所アルティアム」で表現したのは、鹿児島の作品がどのように生まれ、かたちになっていくのか。その原点となる「図案」に焦点を当てたもの。

会場は図案をコンセプトに、器・プロダクト・空間というアプローチで大別され、構成・展開されている。それぞれの見どころを紹介しよう。

<図案×器>
会場に入ってすぐの壁面には、作家活動の原点である陶芸作品を展示。かき落とし、下絵付け、蝋抜き、染付など4種類以上の技法を使って表情を出した鹿児島の器は、同じモチーフでも技法や色によって異なるニュアンスが楽しい。大皿作品もあり、最初から思わず時間を忘れ、緻密な作品世界に惹き込まれてしまう。

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<図案×空間>
空間に足を踏み入れて、まず目に飛び込んでくるのは壁一面に描かれた「ZUAN」の壁画だろう。駆けつけた大勢のファンの前で、ライブペインティングを施した作品は、春らしいピンクで構成された図案が心を弾ませる。

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壁画と連動するようにフロアの地面や壁面に描かれているのは「鳥と花」の図案。ハンドメイドの陶皿の図案を拡大したフォトーブースでは、作品世界に飛び込んで自由に撮影が楽しめるなど、空間を大胆に生かした図案の魅力を体感できる。

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<図案×プロダクト>
テキスタイルやパッケージデザインなど、プロダクトを紹介するゾーンでは、鹿児島の図案さまざまなマテリアルで多彩に表現されている。プロダクトの詳細は以下のよう。

◇ さまざまなジャンルのブランドとのコラボレーションワークス。

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◇ 2013-16年に東京・青山のショップ「doinel」にて開催された「鹿児島睦の図案展」のアーカイブと、様々なデザイナー、作家、メーカーとのコラボレーションによって展開するZUAN&ZOKEIプロダクト。原画と制作背景も合わせて紹介。

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◇久留米絣やてぬぐい、インドのウッドブロックプリントを用いた、ファブリックアイテム。

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植物の図案の中に生き物が隠れているアルファベット文字(ZUAN Letters)。ポスターやモビールといったペーパーアイテムも


■陶器の世界を飛び出して
プロダクトに生かす図案の魅力とは?

お皿の中だけでなく、ペーパーアイテムやテキスタイル、壁画まで、鹿児島が描く図案の魅力はどこにあるのか。

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例えば、Lapuan Kankuritとコラボレーションしたウールブランケットについて、鹿児島はこう話す。「このブランケットはパターンの繰り返しでなく、原寸大で紙を切って作ったものなんです。ですから、けっこう緊張感がありました。どこから見ても上下天地がないように作りたかったので、畳んだ時に花柄がぐるっと縁にくるようになっています。そのほうが楽しいですから」。

使う人のことを考えた細やかな図案と、自身もマテリアルの違いを楽しみながら、図案の可能性を拡げ、かたちに仕上げていくものづくり。さまざまな作品の中で、鹿児島のそうした思いやりが通うポイントを見つけてみるのも面白いだろう。

さまざまな素材、さまざまなアイテムを間近に、改めて鹿児島の図案の楽しさ、構成力を発見できる図案展。感想ノートには「将来、絵描きになりたい」と夢を綴った女の子の言葉と絵が描かれていたりと、老若男女、世代を超えた人々の感性をくすぐる一連のアートワークを純粋に楽しんでほしい。


続いて、太宰府天満宮で開催中の「鹿児島睦の造形展」の紹介へ



【展覧会情報】
#鹿児島睦展

「鹿児島睦の図案展」
会場:三菱地所アルティアム
住所:福岡県福岡市中央区天神1-7-11 イムズ8階
会期:2017年3月12日まで
時間:10:00~20:00
料金:一般400円(300円)、学生300円(200円)、高校生以下無料 ※()内は前売り料金

「鹿児島睦の造形展」
会場:大宰府天満宮宝物殿 企画展示室
住所:福岡県太宰府市宰府4-7-1
会期:2017年3月12日まで
時間:9:00~16:30(入館は16:00)
料金:一般400円(300円)、高大生200円(100円)、小中生100円(50円)※()内は30名以上の団体割引料金
休館日:1月30日を除く、月曜休館

《前田 亜礼》

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