三越伊勢丹バイヤーが訪ねる“モノつくり”の現場。クリエイティブと技術によって創り出されたカットソーの世界を紐解く

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三越伊勢丹で展開するレディース・ウェアのプライベートブランドでは、新たな取り組みとして、“ブランドを超えたモノつくり”が始まっています。ブランドの枠を越えて、それぞれのアイテムに、より専門的な知識を持ったバイヤーたちが、より良いモノつくりを目指そうという試み。今回は、“カットソー”についての特集です。

株式会社エイガールズは、和歌山で80年以上も続く、丸編みニットの老舗ファクトリーを背景に、国内外多くの有名メゾンが絶大な信頼を寄せているテキスタイル会社。クリエイティブ・ディレクターの尾崎孝夫さんは、世界最高峰のテキスタイルの見本市“プルミエール・ビジョン”で、2016年、最も影響力のある6人のテキスタイルデザイナーに選ばれました。世界中を周って素材開発をする尾崎さんと、畑中バイヤーにお話を伺い、高度なクリエイティブと技術によって創り出されたカットソーの世界を紐解きます。

■“コンフォート” “クリーン” “モダン”

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三越伊勢丹 婦人・子供統括部仕入構造改革商品部 バイヤー 畑中慎一郎


僕がカットソーアイテムで担当してるのは、レディースのプライベートブランドの中でも5ブランド。お客さまの層も様々なのですが、共通して考えていることは、百貨店は “豊かなライフスタイル”を提案することが使命だということ。ただ、非日常的な贅沢品ではなく、日常的にお客さまが豊かな気持ちになれるということ。

今回の企画を始めるにあたって、まず “豊かなライフスタイル”につなげるためのキーワードを3つ考えました。最初に“コンフォート” 、快適性ですね。二つめは“クリーン、清潔感。三つめは“モダン”、コンテンポラリーであるということ。その3つのキーワードを元に素材やアイテムのイメージを探していた時、エイガールズさんとの出会いがありました。エイガールズさんには何よりもまず、モノづくりへ真剣さを感じました。扱う素材に関しても、3つのキーワードすべてが当てはまり、商品の仕上がりも新鮮で、リュクスな雰囲気が出せるのではと考えたのです。

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株式会社エイガールズ取締役 企画室長 尾崎孝夫


カットソーはファースト・レイヤー、直接肌に触れることの多いアイテムです。だからこそ僕たちは、素材をつくる際に、その着心地や風合いを一番大切にしてモノづくりをしています。弊社では、原料そのままの風合いや特徴を壊さずに、その原料が最も活きる商品と価値を追求し開発を行っています。また、僕が生地を企画する際に、最もこだわるのは、“エイガールズらしさ”ということです。“エイガールズらしさ”とは、心地よくラグジュアリー感のある素材ということでしょうか。着ていて気持ちがいい、コンフォータブルでドレスダウンできるイメージですね。

■エイガールズが誇る3つの素材

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畑中:今回のプロジェクトでは、かなり幅広い商品開発をしています。仕事をする女性に向けた、オンタイムのウェアから、日常的なカジュアルウェア、そして、メディテーション、すなわちリラックスするためのオフのウェア。オンからオフまでお客さまのタイプも様々です。その中で選んだ素材は、エイガールズさんの中でも、選りすぐりの3素材、「ロータス天竺」、「ロータス丸胴リブ」、「キング裏毛」です。

尾崎:エイガールズでは年2回、東京、ミラノ、パリ、ニューヨークと4カ所で展示会をやっていて、それに合わせ、毎回約150マークの素材開発を行っているのですが、モノづくりのスタートはまず、糸づくりです。弊社は独自でオリジナルの紡績を行っています。他社と差別化する意味でも大切にしていきたい部分ですね。そして、編みのスピード、こだわりの染色と仕上げ方法があってこそ、独自のテキスタイルが出来上がります。今回、選んでいただいた3つの素材は、どれも年月をかけて創りあげたエイガールズを代表する素材。試行錯誤を繰り返して、最終的に完成した自信作ばかりです。

■インドの最高級超長綿を使った「ロータス天竺」

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畑中:「ロータス天竺」はエイガールズさんの代表的な素材。肌に触れた時、とても柔らかく、ストレスのない着心地です。目が詰まっているので見栄えが良く、僕が今まで触った素材の中でも群を抜いて素晴らしいという印象でした。

尾崎:ロータスというのは、インドの国花、蓮のことです。この素材は、インドまで行って、超長綿を選び、インドでオリジナルの紡績を行なっています。今回の素材はロータスの中でもかなり細い番手の糸を使用し、機械もハイゲージな編み立てをしているため、生地の表面に滑り感があり、手触りや着心地の良さから、僕が考える中での “究極のTシャツ”と言えますね。

■継ぎ目がなくストレスフリーな「ロータス丸胴リブ」

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畑中:二つめは、同じくロータスの糸でつくられた「ロータス丸胴リブ」 。一番の特徴は、脇に継ぎ目がなく、リブ状に編まれていること。身頃の幅に合わせ、小さい筒状に編まれているので、このようなデザインが可能になります。継ぎ目が肌に当たらず、伸縮性があるので、ストレスなく着ることが出来ます。家でリラックスしている時や、ワンマイル・ウェアとして着ていただきたい、という思いからつくられた素材です。

尾崎:編み立てるのは、昭和初期から使っているレトロな編み機です。非常に生産性が悪く、通常の機械の5倍~10倍の時間を有しますが、ゆっくりゆっくりと空気を膨らませながら低速で編むので、糸がもともと持つ風合いが損なわれることなく、身体にフィットする伸縮性が生まれ、着心地良く仕上がります。まるで手編みのようなイメージですね。古い機械は調整も難しく、職人の技術と長年の勘によって支えられています。

■キレイで上品な仕上がりの「キング裏毛」

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畑中:裏毛は、一般的にカジュアルな素材というイメージですが、 〈キング裏毛〉はハイゲージで非常に滑らかな素材。ここまで目の細かい裏毛って世の中になかなかないですね。キレイで上品な印象に仕上がっています。しっかりとハリもあるので、アイテムの幅としても、スエットやTシャツだけでなく、ジャケットやボトムス、ワンピースといった様々なアイテムに応用できるというのが魅力です。

尾崎:キング裏毛という名の由来は、裏毛の王者であるという意味でネーミングされました。エイガールズの裏毛の中で最も編目がコンパクトで光沢もあり、美しい裏毛です。原料にはアメリカの高級綿のスーピマコットンを使用する事で触感にはハリコシ感がしっかりと感じられると思います。キング裏毛は、裏毛の常識を超えた1品です。

■テキスタイルに“侘び寂び”を

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尾崎:僕はカットソーが大好き。伸縮性があって、柔らかく肌にも心地いい。日本のカットソーって、うちだけじゃなく本当に素晴らしいんですね。特に職人さんの感性が優れている。だから、もっと世界に広めていきたいと思っています。長く海外のブランド様と一緒にお仕事をさせて頂く中で感じるのは、日本には四季折々に合わせた独自のファッションが存在するという事です。我々の作る素材にも、日本人ならではの季節感にあった素材への細やかな配慮や心配りが根付いていると思います。そういう意味では日本の“侘び寂び”というか、精神性にもつながる五感で感じられる生地を今後も発信しつづけたいと思います。

畑中:エイガールズさんの素材は、非常に今っぽいというか、新鮮さ、デザイン性を感じるものです。その最先端の生地が古い編み機でつくられていたりする。それってすごく面白いですよね。編み機にこだわり、糸使いにこだわり、さまざまな加工にこだわる。そして、尾崎さんの持つ抜群のクリエイティブ力と、職人さんの感性によって、質の高いカットソーを創り出すことができる。お客さまには、是非、じっくり見て、触ってみて、着てみて、その風合いの良さを実感していただきたいです。

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<記事提供元>

monotsukuri

《編集部》

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