「現代はファッションへの欲望や詩的な美しさを失いつつある」--デザイナー・ルッセラ・ヤルディーニ--2/2【INTERVIEW】

Voice Voice

デザイナーのルッセラ・ヤルディーニ(中央)
  • デザイナーのルッセラ・ヤルディーニ(左から2番目)
  • デザイナーのルッセラ・ヤルディーニ(中央)
  • デザイナーのルッセラ・ヤルディーニ(右)
イタリア人にとってファションは、人生に“JOY”というスパイスを加える、必要不可欠で身近な存在。そんなイタリアのファッション業界を長く牽引しているデザイナーの一人が、ルッセラ・ヤルディーニ(Rossella Jardini)。

ボッテガ・ヴェネタ(Bottega Veneta)、モスキーノ(Moschino)とイタリアを代表するラグジュアリーブランドでクリエイティブディレクターを務めた後、現在は自身の名を掲げたブランドに注力している。

30年以上に渡り業界を見てきた彼女の目に、現代のファッションは「詩的な美しさを失いつつある」ように映っていると語る。彼女の知る業界の変遷、イタリアファッションの強み、そして来日時の日本の印象とは。


ーー30年以上ファッション業界の第一線で活躍しているルッセラですが、その間に業界も時代も大きく変貌を遂げています。この変化をどのように感じますか?また、どういった点が最も変わったと思いますか?

インターネットが全てを変えたわね。例えば、昔はショーを観に行く人はファッション業界人だけだったのに対して、今は肩書きが何なのかさえ分からない人もいる。最新コレクションを一般の人が目にするのは、ショー開催の6ヶ月後だったけれど、今はリアルタイムでしょ。“See now, Buy now”に然り、消費することにばかり重きを置いて、ファッションへの欲望や詩的な美しさや楽しさといった、醍醐味が失われつつあるように感じます。

時代のスピードが加速する分だけデザイナーやディレクターにのしかかる負担が大きくなり、創造性の部分が欠落してしまいかねない。過去のアーカイブをそのままコピーしたようなピースが出てくるのも、それが原因だと私は思っているの。ブランド側はビジネスに傾倒し過ぎ、消費者側はトレンドを追いかけ過ぎてしまう状況が続いて、ファッションの真髄を失ってしまわないか今後が心配。


ーーモスキーノをはじめ、イタリアのデザインというのはトレンドに振り回されることなく、常に“自己流”を提唱しているブランドが多いと感じます。顧客やマーケットが求めるもの与えるのではなく、リーダーシップを切ってファンを率先しているイメージ。それだけデザインも優れているということですが、ルッセラはイタリアのファッションの強み、他国と比べて優位な点を挙げるとしたら何ですか?

メゾン級のブランドでも、創始者が健在しているというのは大きな強み。ブランドのDNAを彼らから直接受け継ぐことができるから。どの業界においても、コンセプトを揺るがさず、ブランドの色を守り続けるというのは容易なことではありません。どんなに立派なブランドであっても、数年単位でクリエイティブディレクターやデザイナーを変えていては、基盤が崩れてしまうのも当然よね。


ーー自身のブランド、ルッセラ・ヤルディーニ(Rossella Jardini)はまさにイタリアを象徴するような、華やかさやエレガンス、そして遊び心を感じます。日本やアジアでも販路を広げているようですが、これからどんなブランドに育てたいと考えていますか?

ルッセラ・ヤルディーニは私をそのまま投影しているようなブランドね。まさに、私が着たい、着ているアイテムばかり。製作のプロセスにおいて最も好きなのは、素材を選ぶ時。イタリアには上質でユニークな素材を生み出す会社がたくさんあるから、直接足を運んで、見て触れて選んだりもするわ。デザインが良いだけでなく、快適で着心地が良いということを大切にしているの。宣伝には力を入れず、ブランドを心から愛してくれる顧客の日常を彩り、エレガントでエネルギーを与えられるような存在でありたい。

30年程前、ボッテガ・ヴェネタで働いている時に日本何度か訪れ、今年ルッセラ・ヤルディーニのローンチパーティで久しぶりに来日しました。東京は街に緑や公園が増えて雰囲気が良くなったんじゃないかしら。日本で暮らす人たちにもルッセラ・ヤルディーニを愛してもらえると嬉しいわ。

《ELIE INOUE》

関連ニュース

特集のニュースをみる

PCサイト