ITSファイナリスト選出作品のヒントは身近な○○○!? そのユニークな視点に迫る--時澤知菜実【ファッションの“未来”たちに聞く】

2016.09.27

新人デザイナーの登竜門として、毎年イタリアのトリエステで開催されるファッションコンテストITS(イッツ=International Talent Support)」。ファッション界の目利き達が注目するこのコンテストでは、今年4名の日人デザイナーがファイナリストの栄誉に輝いた。これを記念して、伊勢丹新宿店本館2階=TOKYO解放区では9月27日から歴代のITSファイナリストたち7名の作品の展示・販売を開始する。

FASHION HEADLINEでは、ファイナリストの喜び冷めやらぬ3名にインタビューを行い、受賞作品について、さらに今回の企画で発表する新作への意気込みを語ってもらった。

――ITSファイナリストに至るまでのプロフィールは?

共立女子大学の被服学科を卒業後、エスモード東京校に入学、エスモード時代にリトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)の山縣良和さん、ミキオサカベMIKIO SAKABE)に師事し、卒業後は山縣さんの元でインターンデザインアシスタントとしてリトゥンアフターワーズで1年ちょっと働きました。その後も山縣さんが主宰する「ここのがっこう」で1年間自分の作りたい物を追求し、今年のITSに応募。アートワーク部門とジュエリー部門でのダブルノミネートとなりました。

――応募のきっかけとなった出来事は何ですか?

山縣さんと坂部さんとの出会いですね。学生の頃から憧れの存在というか、若手デザイナーの中では有名でしたし、世界観も魅力的に感じていたんです。例えば、色ですね。色と色の組み合わせのセンスとか、“かわいい”という感覚に関しては影響を受けたと思います。それで、学生時代からインターンを経て「ここのがっこう」に入り、そして自分のクリエーションを試したいと思い、ITSに応募しました。

――大学、専門学校では被服を学んでいた時澤さん。服作りからアクセサリー部門でのITSの応募に路線変更しています。ここに至るまでに作風の転換期があったのでしょうか?

大きな転換期は2回ありました。最初はエスモードの2年目、卒業コレクションの制作時に周りの同級生の人たちが作るものがガラッと変わり、自分でも変わったと思いました。2回目は「ここのがっこう」に入ってから。新しい技術を入れていこう、新しいものに挑戦しようという気持ちが芽生えたのは「ここのがっこうで学んだことがきっかけです。

――ITSで披露した作品『sticky jewelry』のインスピレーションは何から受けましたか?

実は、ピップエレキバンです(笑)。もともと自分が背で肩こりがあって、身近なものではありました。人に見られると恥ずかしいけれど、もしあれがアクセサリーみたいに肌に貼り付けられて、見られてもかわいかったらどうだろうと思ったんです。“日常って愛おしいな”という感覚をヒントに、突き詰めて作品にしていきました。

――ITSに参加参加してみて現地で感じたこと、刺激を受けたことは?


「ここのがっこう」でITSを経験した先輩方から噂は聞いていて「海外はもっとすごいよ」と言われていたことが、実感としてわかった気がします。空間の見せ方やプレゼンテーションの仕方など具体的なこと、それから海外ならではの感覚に実際に触れられたことも刺激になりましたね。他の応募者の中で気になった、ファッション部門のグランプリのマヤコ・カノさんと現地で話をしてみて、“かわいい”や“きれい”の感覚が自分と似ていてとてもうれしかったことも印象に残っています。

――今後の作品作りの目標は?

もともと服作りをずっとしてきたので、やっぱり服が作りたいですね。今回はアクセサリー、ジュエリー部門での受賞で服は作れていないので、ゆくゆくは服、アクセサリー、小物とトータルで作ることが目標です。



9月27日からはじまる伊勢丹新宿TOKYO解放区でのポップアップショップ「ITS@TOKYO解放区」では、時澤さんの受賞作『sticky jewelry』と、このポップアップショップのために新たに制作した作品群に触れることができる。あのピップエレキバンがラグジュアリーなアクセサリーに大変身!日常のふとした瞬間が生んだアート・アクセサリーをぜひご覧いただきたい。

イベント情報】
タイトル:ITS@TOKYO解放区~注目のデザイナーをインキュベーション~
会期:9月27日から10月4日
会場:伊勢丹新宿店 本館2F=センターパーク/TOKYO解放区

【デザイナーアピアランス】
■9月27日 中里周子・清水政紀・時澤知菜実
■9月28日 時澤知菜実
■9月29日 片貝葉月
■10月1日 清水政紀・時澤知菜実
■10月2日 村上亮太・清水政紀
■10月4日 清水政紀・時澤知菜実

※都合により、来店スケジュールは中止または変更になる場合がございます。
また、時間帯により不在の場合がございます。
辻 あい子
  • 時澤知菜実の作品
  • 「作品のインスピレーションは、実は身近なところにあるものだった」と時澤知菜実
  • 「ゆくゆくは洋服も作っていきたい」と時澤
  • 時澤知菜実
  • 2016年のITSファイナリストにノミネートされた片貝葉月(左)、時澤知菜実(中央)、清水政紀(右)
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