全長3メートルの龍も登場する「驚きの明治工藝」展が上野で開催中、日本の工芸作品はすごい!びっくり!かわいい!がいっぱい

2016.09.12

細密、写実的な表現で近年人気の高い明治時代を中心とした日工芸作品。この「明治工藝」の一大コレクションを紹介する「驚きの明治工藝」展が、10月30日まで東京上野公園の東京藝術大学大学美術館で開催されている。

江戸時代、徳川幕府による安定した政権のもと、友禅、高象嵌(たかにくぞうがん)、色絵などそれぞれの分野で技術的な発展を遂げた日本の工芸作品。特に金工、漆工の分野では、造形、装飾に写実が意識され、様々な材料を使用して技巧を尽くした作品が作られた。また、明治時代に移ると、欧米諸国への輸出が目標とされ、内外への博覧会への出品によって、その優秀な技術を示すことが求められた工芸品は、表現により高い精度が加わり、細密な作品が多く作られるようになった。

本展は、明治時代の工芸品を中心に、「明治工藝」の基となった江戸時代後期から、明治時代の影響が及んだ昭和初期までの作品によって、その驚くべき表現や技術を紹介するもの。台湾のコレクター・宋培安の3000点に及ぶ大規模な日本工芸のコレクション「宋培安コレクション」の中から、約130件以上の作品が日本で初めて公開されている。

会場では、龍、蛇、伊勢海老、カマキリや蝶などの昆虫を鉄や銅などで写実的に作り、胴や手足などを動かせる機能を実装した「自在置物」や、表面に凹凸があるビロードに友禅染を施した「ビロード友禅」をはじめ、漆工、金工、彫刻など多彩な作品を展示。全長3メートルもある世界最大の龍の「自在置物」や、高瀬好山が手掛けた優美なフォルムの《鳳凰》、宮川香山が制作した透明感のある《染付菖蒲文瓶》、色金を多用した金具などを残している小林盛良による2センチサイズの《三猿根付》なども公開中だ。

なお、本展は、東京での開催を皮切りに、11月12日から12月25日まで京都の細美美術館、2017年4月22日から6月11日まで埼玉川越市立美術館に巡回する予定だ。

イベント情報】
「驚きの明治工藝」展
会場:東京藝術大学大学美術館
住所:東京都台東区上野公園12-8
会期:9月7日~10月30日
時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
※10月21日、22日は、20:00まで開館、入館は19:30まで
料金:一般1,300円、大学・高校生800円
休館日:月曜日(9月19日、10月10日は開館)、10月11日
本文テキスト:中村陽介
  • 「驚きの明治工藝」展 チラシビジュアル
  • 《自在龍》
  • 《自在蛇》 宗義
  • 《自在蟹》
  • 《蜆(しじみ)根付》 平井汲哉
  • 《狸置物》 大島如雲
  • 《三猿根付》 小林盛良
  • 《色絵金彩鴛鴦(おしどり)置物》 宮川香山
  • 《葉上蛙》 宮本理三郎
  • 《彩画柄杓蛙》 宮本理三郎
  • 《厳島神社鳥居図壁掛》[展示期間:9/7~10/2]
  • 《自在龍》 宗義
  • 「驚きの明治工藝」展ロゴ
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