ファッションとアートが融合する時 spoken words project デザイナー飛田正浩--1/2【INTERVIEW】

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昨年、好評を博したPUMAとのスニーカーコラボレーション「ewohaku」に続き、「ewokiru」をテーマにアートを身にまとえるTシャツを発表したスポークン ワーズ プロジェクト(spoken words project)のデザイナー、飛田正浩。自ら染めやプリントまで手がける手作業の服作りを実践してきた彼に、亀戸にあるアトリエを訪れ、ファッションとの向き合い方を訊いた。

■目指してきたのは「世の中にないもの」

ーーこのところファッションの世界でも“手仕事”に注目が集まってきていますが、飛田さんはスポークン ワーズ プロジェクトで手作業の服作りを続けてらっしゃいますよね。

はい。もう語るのも面倒になるくらい(笑)ずっと続けてきています。生地を作るにしろ、パターンを引くにしろ、専門のスペシャリストが世にはいて、洋服は作られている。だけど、そこには決まりごとも多々あって、時々「あれ?」と疑問にぶつかることがあるんです。培われてきたものは大切ですが、やっぱり既成概念を壊していかないと、新しいものは生まれてこない。だから、とらわれないために自分でやっているという面もあります。

ただデメリットもありますよ。原画を描いて、自分で染色してプリントするとなると、作れる量は自ずと決まってくるし、そのルーティンワークがどこまで必要なのかという疑問も出てくる。だけど、僕の中では“ファッション×アート”が変わらないテーマで、常日頃から「世の中にないものを作りたい」と考えているんです。

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亀戸にあるspoken words projectのアトリエ


ーーそのアプローチは立ち上げ当初から?

紆余曲折ありました。美大(多摩美術大学染織デザイン科卒業)で学んだのですが、四浪して入ったクセに学校にはろくに行かず音楽ばかりやっていたひどい学生(笑)。卒業制作で初めて洋服を縫った時に、「あ、やりたかったのはこれだった」と気づくんです。そこから服作りは独学で模索。ただ“商品を作る”という考えが持てなかった。ずっと音楽を作ってきたから、“作品作りをしている”という感覚だったんですよね。当時は時代的にも、純粋に芸術をやっていこうとする人間が周りにも多かったから、“表現”を軸に生活をしていくことには抵抗ありませんでした。今思うと、非常に向こう見ずなんですけどね。

でも、それじゃ服は売れない(笑)。いろんな葛藤を経験して、一時は染色やプリントも封印して、いわゆる量産をする“既製服”のアパレルビジネスもやってみました。ただ、無理に既製服を作ろうとすればするほど悪くなっていく。だから、もうこれで最後だと決意して、ワンピースたった1型に絞って、1点1点全て違う加工のコレクションを発表したんです。それが評価されて、エージェントがついてビジネスになった。ラックだとひとつの大きな塊に見えるものが、手に取るとそれぞれに違う、手作業の量産。自分でも「これだ」と確信できました。初めて“作品”と“商業”が融合できた瞬間だったんですよね。

ーー封印を解くことで、逆に進むべき道が開けたんですね。

アパレルの王道は歩んでこなかったから、無知ゆえの遠回りや苦労をさんざんしてきました。でも、それこそデザインについては浪人していた時期に一番勉強した気がするし、迷ってきたから見えたものもありますよね。今は“手作業のブランドである”ことは、むしろどうでもいいと思っているんです。PUMAとのプロジェクトを通じてより明確になってきたのですが、結局僕はアートをやりたいんですよね。となると、常に刺激的でなければいけないし、フレッシュであり続けなければいけない。ストーリーやコンセプトさえしっかりあれば、あとは服作りのやり方はどんなモノでもいいんです。染色やプリントという手法に執着するのではなく、ただ“作品”に向き合うことこそ大切だって。

後半「アパレルビジネスの常識ではあり得ないことをする使命感 spoken words project デザイナー飛田正浩--2/2」に続く。

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《石井愛子》

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