本場台湾茶と出合える渋谷「華泰茶荘」--美味しいお茶を日々愉しむ【お茶のある暮らしvol.2】

2016.03.02
一人でも、誰かと一緒でも、渋谷でゆっくりとお茶を飲みたいなと思った時には、大体決まってここに向かう。道玄坂を上った先にある、中国茶・台湾茶・茶専門店の「華泰茶荘(ファイタイチャソウ)」は、渋谷の真ん中でありながらも異国へ旅行に訪れたような、つい時が経つのも忘れてしまう程のゆったりとした雰囲気が魅力的なのだ。

中国・台北で1842年創業、170年以上もの歴史を持つ老舗店という華泰茶荘。台湾茶問屋「林華泰茶行」の5代目であり、台湾で“お茶の人間国宝”と称される祖父から3代目という名門出身のオーナー・林聖泰さんが、東京に日店を構えて約20年。全4階建のこのお店では、1階が上質な茶葉を常時約200種取り扱うという茶葉・茶器・茶道具の販売、2、3階がデザートや点心役150種類以上のお茶が楽しめる茶館、4階が個室となっている。

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2階にはガラス越しに茶器や茶道具がずらり。高級なものからお手頃のものまで販売も行う。


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3階の茶館では150種以上のお茶と、ランチ、点心、お菓子のメニューが味わえる。


中国での喫茶習慣は、約5,000年前に薬用として生葉を食べることから始まったといわれている。薬用という程であるから、一枚一枚手摘みされた上質な茶葉は直接食べることもできる。実は、飲用としてお湯出ししても、抽出される茶葉の水溶性の成分は50%ほどだそう。そのため中国では、おかゆや、煮込み料理、お菓子に入れたり、油で揚げて食べる文化もあるそう。ここ華泰茶荘では、茶葉を刻んでケーキクッキーの風味付けにも使用されているし、お茶で煮込んだヘルシーなお粥もある。

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茶葉を使ったお菓子。中国茶とドライフルーツのパウンドケーキ(480円)、特製中国茶クッキー盛り合わせ(480円)など。


お猪口のような小さな「飲杯」とペアで使われる台湾特有の長い筒状の茶器「聞香杯」は、お茶を味わうだけでなく香りの変化も楽しむための茶器。特に香りが多彩で変化に富む台湾烏龍茶には欠かせない。温度によって変化するお茶の香りを、飲む前に一度、飲んだ後にもう一度、その途中にも楽しむことができる。一度淹れた茶葉で何杯も味わうことができるのも台湾茶の特徴。

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左側の器が飲杯、細長いのが聞香杯、急須の奥にあるのが茶海。桃の絵柄には、“寿”、“家庭円満”、“幸せ”の意味が込められているそう。


■数ある茶葉の種類の中から、烏龍茶の一種である青茶4種を飲み比べ

色んなものを試してみて自分の口に合うものを見つけたり、その日の天気や気温、体調に合わせてチョイスしたりと、お茶の選び方は様々。今回は、発酵度合いによって、多種多様な味わい、香りをみせる烏龍茶の一種・青茶(=半発酵茶)に分類されるお茶の中から4種類をご紹介いただいた。

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(左から)清茶、凍頂烏龍茶、鉄観音茶、東方美人茶


まず、15%と低発酵度の清茶は、一番緑茶に近いお茶といわれ、蘭のような甘い香りが特徴。その繊細な味わいから“茶通のお茶”ともいわれている。色味も青っぽい茶葉で、淹れた色味も黄緑色で緑茶のよう。続いて、台湾茶の中でも人気No.1のお茶である凍頂烏龍茶は、清々しいの香りと、まろやかな味わいが特徴。むくみとりの効果もあるそう。花や果実のような香りが特徴の鉄観音茶は、脂肪分解や二日酔い防止の効果がある。50~70%の高発酵度の東方美人茶は、蜂蜜にも似た甘くフルーティーな香りが特徴。茶葉の色味は一番濃く、淹れると美しい杏色。ヨーロッパでは「オリエンタルビューティー」と呼ばれている。

■美味しいお茶の淹れ方は簡単。凍頂烏龍茶でレクチャー

「美味しいお茶の淹れ方は難しくない」と林さん。「日常茶飯事という言葉がある通り、中国では食べることとお茶を飲むことは一緒。生活の一部として気軽に味わって」と話す。今回は、凍頂烏龍茶で淹れ方を教えていただいた。

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(左上から時計回り)1.急須を温める。2.茶葉を入れる。3.熱湯を注ぐ。4.蒸らす。

1.急須に熱湯を注いで温める。
2.温めた急須に底に敷き詰める程度の茶葉を入れ、熱湯(90度以上)を並々注ぐ(茶葉3~7gに対し、熱湯150cc)。
3.急須の上から熱湯を注ぎ、茶葉が開きやすいように蒸らす。
4.1煎目は30秒~1分、2煎目は1分30秒が目安。丸まっている茶葉が一枚の葉に開くまで約5~6回飲むことができる。

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(左上から時計回り)5.お茶を茶海に注ぐ。6、7.茶海から聞香杯に注ぐ。8.飲杯に移し聞香杯の残り香を楽しむ。

5.抽出したお茶を茶海に注ぐ。
6、7.その後一旦、温めておいた細長い聞香杯に注ぐ。
8.その後、飲杯に移し、聞香杯の残り香を楽しむ。



「誰かとお茶を飲むということは、時間を共有するというコミュニケーション手段のひとつ。古くから受け継がれてきたこの文化は、アジア内でとても重要だと思っています。いつか忘れられてしまうことなく、現代から未来にも受け継いでほしい」と林さんは話す。お茶を通じて知る歴史や文化の奥深さ、通いたくなる魅力がある華泰茶荘だった。

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オリエンタルな音楽の流れる空間。渋谷に居ることをついつい忘れる。


【店舗情報】
中国茶・台湾茶・茶器専門店「華泰茶荘」
東京都渋谷区道玄坂1-18-6
03-5728-2551
www.chinatea.co.jp
営業時間:1階 10時30分~19時30分
    :2、3階茶藝館 平日11時~18時(LO 17時)、土日祝11時~18時30分(LO 18時)
定休日:火曜日(祝日は営業)・年末年始
Iori Ihara
  • 茶海から聞香杯に注ぐ
  • 「華泰茶荘」
  • 2階にはガラス越しに茶器や茶道具がずらり。高級なものからお手頃のものまで販売も行う
  • 3階の茶館では150種以上のお茶と、ランチ、点心、お菓子のメニューが味わえる
  • (左から)清茶、凍頂烏龍茶、鉄観音茶、東方美人茶
  • 茶葉を使ったお菓子。中国茶とドライフルーツのパウンドケーキ(480円)、特製中国茶クッキー盛り合わせ(480円)など
  • 左側の器が飲杯、細長いのが聞香杯、急須の奥にあるのが茶海。桃の絵柄には、“寿”、“家庭円満”、“幸せ”の意味が込められているそう
  • 「華泰茶荘」
  • 今回は、オーナーの林さんに凍頂烏龍茶の淹れ方を教えていただいた
  • 茶葉が一枚の葉に戻るまで何度も飲める
  • 急須を温める
  • 茶葉を入れる
  • 熱湯を注ぐ
  • 蒸らす
  • お茶を茶海に注ぐ
  • 茶海から聞香杯に注ぐ
  • 飲杯に移し聞香杯の残り香を楽しむ
  • オリエンタルな音楽の流れる空間。渋谷に居ることをついつい忘れる
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