「ミュウミュウ（MIU MIU）」が2011年よりスタートしたショートフィルムプロジェクト「女性たちの物語」の最新作が、8月28日、ベネチア国際映画祭でプレミア上映された。

プロジェクト第8弾となる本作を監督したのは、ロサンゼルス在住の映画監督ミランダ・ジュライ（Miranda July）。『SOMEBODY』と題した10分間の作品に登場する人物達は、ミュウミュウの14-15AWコレクションを、ビンテージ衣装やストリートウェアとミックスさせてまとい、失恋し、友情を取り戻し、乾いた鉢植えと奇妙な関係を築いていく。

そこに浮かび上がってくるのは、コミュニケーションへの渇望。物語のカギとして携帯電話のアプリを使うことで、テクノロジーやアウトソーシングの発展への憧憬も描いた。

この試みに関してジュライは、「ミウッチャ・プラダは今回のコレクションで、自分の周囲にある、日常的・実用的な世界を描こうとしたように感じた。一方、私は、衣類の構造を分析し、原点に戻ることを思い描いた」とコメントを発表。

また、彼女は自身が開発者チームと協力し、劇中に登場するアプリ『SOMEBODY』も開発。映画の最後に、アプリの登録方法が表示される。「この作品は世界規模の公共芸術プロジェクトだと思っている。作品を鑑賞することによって、行動し、見知らぬ人と結びついて、非効率やリスクの価値について話し合ってもらいたい」とジュライは語る。

本作は、ミュウミュウのオフィシャルサイトでも公開されている。

同プロジェクトはこれまでに、ゾエ・カサヴェテス監督による『パウダールーム』、ルクレシア・マルテル監督の『MUTA』、ジャーダ・コラグランデ監督の『The Door』、ヒアム・アッパス監督の『ヴッチリアの女性たち』、キム・ソヨン監督の『Spark and Light』などを公開してきており、うち6作品が、2012年、2013年のベネチア・デイズプログラムで上映されている。

それぞれの作品に共通するのは、「時代を超えたテーマについての問いかけ」。女性達は自分自身をどのように見ているのか？お互いをどのように見ているのか？女性たちの思想や知性を示す外見は、官能性や悦びとは切り離すことが出来ないのか？こうした問いを主題に置くことで、21世紀の女性らしい視点で称える作品を制作してほしいとの思いから、ミュウミュウは、本プロジェクトのすべての作品を女性監督に依頼している。

それぞれの劇中ではコレクションが重要な役割を果たし、時にストーリーを牽引して、権力と欲望、虚栄と装飾、儀式とルール、夢と悪夢を紡いでいく。いわば、日常を形作るすべての瞬間瞬間を洋服に語らせていることこそミソなのだ。